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光のもとで 1-42

ケーキを食べ終えると藤宮先輩がみんなのお皿を片付け始めた。


「あ、洗い物、私やります」


「いーのいーの、翠葉ちゃんは座ってて」と秋斗さんに言われるも、なんだか落ち着かない・・・


マグカップを両手で掴みつつそわそわしてると、その手を秋斗さんの両手で包まれる。


「中性洗剤、素手で触れないでしょ?」とにっこり笑顔つき。


確かに中性洗剤は素手で触れません・・・
一発でかぶれます・・・


だけどっ、秋斗さんのこの手も苦手ですっ。


「家でも避けてることをここでやる必要ないよ」とこちらを振り返る藤宮先輩にも言われる。


本当に何でもかんでも知られているようで恥ずかしいやら心地悪いやら何ともいえない気分。


そこにインターホンが鳴り、兄が来たことを知らせる。
秋斗さんが少し大きめの声で「ロック解除」と言うと、カチリとロックの外れる音がした。


何っ?!
声紋認証か何か?!?!?!
部屋の隅々に視線を走らせてしまう。


蒼兄が近くまで来ると「この手はなんでしょう?」と引きつり笑いで秋斗さんに尋ねる。


「あぁ、洗い物するって言うから、このきれいな手が荒れたら悲しいよって話をしていたところだよ」と悪びれることなく答える。


「御園生さん過保護すぎ・・・ってか、病的にシスコン・・・」


食器洗いを済ませた藤宮先輩が戻ってくる。


「何て言われようと気にしませんから」と笑う兄。


「いや、ちょっとは気にしたほうがいいんじゃない?じゃないと御園生さん可哀想だよ?全然、男の免疫ないでしょ?見てみなよ、あの顔。茹でだこみたいだけど?」


そこまで言うと、秋斗さんと蒼兄が藤宮先輩を見た。


「何?」


「司さ、俺も翠葉も御園生なんだけど?」と兄。


「どっちのことも御園生さんって呼んでるよね?混乱しない?聞いてるこっちは混乱するんだけど」と秋斗さん。


「あぁ・・・そう言われてみれば・・・」


言われて気がついたって顔をする藤宮先輩。


「翠葉ちゃんて呼べばいいのに」と秋斗さんが言うと、すごく微妙な顔をした。


「スイハチャン・・・スイハサン・・・スイハ・・・スイ・・・・」


あぁ、なんだか数日前の桃華さんを見ているようだ。


っていうかっ!!!
秋斗さんっ、手!!!
手、いい加減解放してくださいっ!!!


「普通に翠葉って呼べばいいだろ?」と兄に言われるも、何か納得いかないようで・・・


「・・・翠って呼んでいい?」


近くまで歩いてくると、秋斗さんの手をむしり取ってくれた。
藤宮先輩に感謝っ!


「ね、聞いてる?翠って呼びたいんだけど」


顔を覗き込まれて何の話をしていたのか思い出す。


「え?はい・・・?反応できるように頑張ります?」


「・・・今の疑問符で終わる文章じゃないから・・・」と呆れたように、今度はお皿を拭きにキッチンへ戻っていった。


今のところ私を‘スイ’と呼ぶ人はいない。
反応できるかが怪しいが頑張ることにする。


何だか今日は藤宮先輩に少し近づいた気がした。
名前の呼び方が変わったからそう感じるだけなのかな・・・?


桃華さん、この先輩、ちょっと言葉の言い回しが変だけど、そんなに怖い人じゃないみたいです。





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| 光のもとで【第01章】 | 21:00 | TOP↑

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